ドラクエ5の『地平の彼方へ』に主人公の意志を感じて好きな話
ドラクエ5のフィールドBGM『地平の彼方へ』が好きです。ドラクエのBGMの中では一位二位を争うほどに。
かの有名な『おおぞらをとぶ』(3のラーミア、8のレティスの曲)ももちろん好きなんですが、思い入れは『地平の彼方へ』ですね。
というのは、あのシンプルなメロディの中に、三世代にも渡る壮大な冒険を貫く『意志』を感じるからなんです。
ドラクエシリーズというのは、基本的には主人公が喋ることはありません。主人公=自分(プレイヤー)という図式がしっかり成り立っているからですね。
一応、混乱したときの反応や、一部仲間内会話などから何となく性格や感情を読み取ることは出来ますが、ほとんどはプレイヤーの想像に委ねられている形です。

5の主人公は、意志が強くて純粋なイメージかな。魔物と仲良くなれる力があるくらいだものね。
これは5の主人公だけの特異な能力だと思う!
故に、ドラクエにおけるBGMの果たす役割は大きいと思うんです。主人公がその場面や出来事、風景に何を思ったか、音楽の中に多少なりとも主観が入っているはずだから。主人公の物言わぬ感情が、音楽に現れているはずだから。
今回の『地平の彼方へ』に話を戻しますが、この曲は先ほど申し上げた通り、フィールド曲になります。面白いなあと思うのは、5のフィールド曲は、最初から最後まで一貫してこの曲で変わらないということです。親子三世代に渡る長いお話なのにも関わらず、ですよ。

唯一、最終局面では変わります。周りからも、仲間会話で、主人公が『怖い顔をしている』なんて言われるシーンもありました。主人公の緊張が伝わってくるようですね。
わたし個人としては、この現実がこんな風に思えます。
どんなに時が流れても、変わらない想いがある

格言みたい……

実際、本当にそう感じるんだよね。
ドラクエ5の主人公は、群を抜いて悲惨な半生を歩みますよね。
- 実の父を目の前で失う
- その後犯人グループに捕まる
- 10代の青春時代を奴隷として過ごす
- やっと解放されて結婚、子どもまで生まれたと思ったら、その直後に石にされて8年経過

悲惨すぎる……
最終的にはちゃんと助かりますが、普通の人なら、間違いなく絶望してしまうでしょう。
これほどまでに不運が立て続いたならば、もういっそ、全てを投げ出してしまいたくなるかもしれません。頑張っても頑張っても、主人公の努力を遥かに上回るような不運が積み重なってくるんですもの。
ここまで来ると、最終的にヤケを起こして、こんな思いをするくらいなら、魔王の配下になってやる、なんて考えたっておかしくないくらいです。

主人公が石にされたまま8年間経過するシーンなんて、本当にプレイヤー側も見ていることしかできなくて(操作不可です)、時が無常に移り変わるさまに絶望しか感じられなかったくらいです。
衝撃的すぎて、一瞬、ゲームオーバーなんじゃないかと思いましたよ……
それでも彼は、諦めなかった。
父の願いと家族との再会、そして世界……彼は何一つ、諦めなかった。そのまっすぐな意志を表しているのが、生涯変わらないあのフィールド曲だと思うんです。あの曲ひとつに覚悟が滲んでいます。
だからわたしは、あの曲がとても好きなんです。
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