不老不死の男と、仲間たちの100年間。『ヴィーナス&ブレイブス』の重みを語る

わたしがとても好きなRPG作品のひとつに、ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜という作品があります。
2003年にナムコさんからPS2で発売され、後にPSPでリメイクされました。

今となっては、ちょっとプレイするのが大変じゃない?

それはそうだと思う……
以前は、PlayStation vitaのストアからダウンロード版を買うこともできたんだけど、今はもうできないみたいなので、今から新規でプレイするなら、本当にPS2かPSPを選択するしかないし。
そう、大変なのは分かるんです。
でも、わたし、この作品を隠れた名作だと思っていまして、未プレイの方には是非やってみていただきたいんです。

絵本のような温かい雰囲気と、時の流れの残酷さと優しさ。
それをストーリーだけではなく、システム面でも体現する手腕が本当に素晴らしいんです。

興味がある人は、ちょっと読んでみない?
ヴィーナス&ブレイブスってどんな話?
主人公は、不老不死の男ブラッド。
鉱山の街バルクウェイに身を寄せて、山賊団(と言いつつ、街の自警団のようなイメージです)の団長として暮らしていました。
そんな彼の元に、ある日、女神アリアが現れます。
曰く、「100年後に訪れる滅びの災厄を回避するため、あなたの団を率いて戦い続けなさい」とのこと。
最初こそ、アリアが女神であることも、彼女の預言も信じられないブラッドだけど、それが次々当たっていったことで、ようやく現実を受け入れます。
彼は山賊団を騎士団と改めて、災厄を回避するために、100年間戦い続けることになるのでした。
物語に付きまとう切なさ
何よりも強く申し上げなければならないことがあります。
主人公のブラッドは、確かに不老不死です。(女神アリアも)
でも、彼と戦う仲間たちは違う。
普通の人間ですから、100年戦い切るなんてとてもできません。その前にどんどん先立っていきます。

当たり前ですが、ブラッドは今日に至るまで、何度も何度も仲間たちを看取っています。

その度、自分は不老不死だから、何だか置いていかれている気分になっているんだよね。
彼の台詞に、
みんなの季節は、短すぎるよ
というものがあるんですが、これは本当にそうなんです。
短い。

ずっと一緒にいたいのに。
主人公の時間を追体験するシステム
この作品の非常に優れている点が、ここだと思っています。
時の流れがいかに無情であるか、ゲームシステムに組み込んで分からせようとしてくるんです。

たとえば?

これはいくつか例を挙げましょう。
フィールドは、1歩歩くと1日経過
山賊団改め騎士団は、災厄のために戦い続ける使命を帯びてから、世界各国に出向いて魔物退治に勤しむことになります。
拠点を出て、地図の上に表示されたキャラクターを動かして目的地に行くんですけど、1歩歩くと1日が経過します。
つまり、365歩も歩けば、簡単に1年がたってしまうのです。

はっや!

で、年を重ねるごとに、団員の年齢一覧がどんどん更新されていくのです……
団員の能力も年齢に左右される
主人公ブラッドは、不老不死ですので、年を重ねるごとに、少しずつ能力が伸びていきます。
言い換えると、常に全盛期というわけです。

え、じゃあ、他の仲間たちは?

個人差があるけど、各々、こういうリズムがあるの。

衰退期……
そうなんです。
どんなに強い団員でも、全盛期の強さをいつまでも保ち続けることはできません。
騎士団を100年存続させ、強くしていくには、世代交代が必須なのです。

本当に、びっくりするほど、物語とシステムが噛み合っているよね……

どんなに愛着のある団員でも、いつかは別れなければなりません。
年を重ねる度に、年齢一覧も表示されるわけですから、それが否応なしに現実として突きつけられるのです。

昨日まで元気だった団員が、2年か3年くらいかけて、全く戦えなくなっていくんだ。
泣けるよね。
不老不死という非現実を、システムに組み込むことによって、プレイヤーに実感させるシステム。
数え切れないほどの犠牲を払って、それでも進まなければならない現実。
重い。
このゲーム、とにかく重いんです。
それでも最後まで歩いて欲しい
ヴィーナス&ブレイブスは、体験型の作品です。

ストーリーを追うだけなら、文字の記録でも、誰かの実況動画とかでも事足りるのかも分かりません。
でも、この作品は、是非ご自分で体験して欲しいんです。
自分で歴史を紡いだときにしか、味わえない感動があると思うから。

繰り返しますが、現代で本作を楽しめるツールは、PS2とPSPのみになります。
ハードルは高いかもしれないけど、それだけの価値はあると思うので、未プレイの方は是非、名も無き英雄たちに会いに行ってみませんか?
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